ロジスティクスはもともと軍事用語で、武器や食糧の補給を行う兵站という意味であった。その性質を物的流通という民間の活動に当てはめて発展させたロジスティクスは物的流通部門という局部的な効率化を図るのではなく、原材料の調達、生産、販売、物的流通、使用支援そしてこれらの情報支援といった活動を、全体的にまとめた統合的なシステムを意味するようになった。この領域をさらに拡大し、他企業との連携という新しいコンセプトを加え、ロジスティクスのマネジメント面をとらえてサプライチェーン・マネジメントという言葉も使われるようになった。最近ではさらにロジスティクスに環境重視、回収/廃棄や金の流れを加えるようになった。特徴を示すキーワードとしては、情報駆使・共有、全体最適、顧客主導、環境重視、統合化、自律した企業の連携などが挙げられる。これらはサプライチェーン・マネジメントと共通部分が多い。アメリカでは1963年に設立された米国物流管理協議会(NCPDM)を発展的に改組して米国ロジスティクス協議会(CLM)とし、さらに2005年にサプライチェーン・マネジメント・プロフェッショナル協議会(CSCMP)と名称を変更した。CSCMPによるロジスティクスの定義は次のとおりである。「ロジスティクス・マネジメントは、顧客の要求に適応するために、製品、サービス、これらに関連する情報の、出発地点、消費地点間の往と復のフローと保管を効率化し、適正化するように、計画・実行・統制するサプライチェーン・マネジメントの一部である。」 日本では㈳日本ロジスティクスシステム協会が次のように説明している。 「ロジスティクスとは、需要に対して調達、生産、販売、物流等の供給活動を同調化させるためのマネジメントであり、その狙いは顧客満足の充足、無駄な在庫の削減や移動の極小化、供給コストの低減等を実現することにより、企業の競争力を強化し、企業価値を高めることにあります。それを達成するためには関連する企業間の連携が不可欠であり、サプライチェーンを通したロジスティクスの展開が強く求められます。」