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倉庫業者の意識と時代の認識について

CATEGORY /  物流用語

2021年もあと数日、今回が年内最後のブログになります。少し前のブログでも書きましたが、今年も昨年に続き、コロナに振り回された1年でしたが、お客様としっかりと対話し、より良い形を模索した一年だったと思います。今回のブログは、前々回から全3回にわたる用語集、物流のお仕事編となります。最後の用語は、阪南倉庫の本業である「倉庫業」です。いつものように、用語集の場合は、この言葉の定義から考えてみたいと思います。日本工業規格(現日本産業規格)の倉庫の定義はものすごくシンプル。「物資を保管するための施設」というものです。この施設は、何をどのように保管するかで分けられ、「普通倉庫、冷蔵倉庫、水面倉庫」の3つに分かれます。さらに普通倉庫の中でも、取り扱う物品、また管理方法によりさらに分類されて、1類(防火、防塵、防湿性に優れたハイグレード倉庫)、2類(防火性能がない)、3類(防火、耐火性能に加え、防湿性能がない)、野積、貯蔵槽(いわゆるサイロ)、危険品、トランクルームの7種類に分かれます。建物だけでも、きちんと区分けされていることが分かると思いますが、ここからさらに倉庫業という業態についての定義についてお話ししたいと思います。

   

いわゆる倉庫を保有もしくは賃借して商売を営んでいる事業者は、営業倉庫になるのですが、営業倉庫の定義は、「寄託を受けた物品の倉庫における保管を行う営業」とされています。あくまでも他社の物品を、依頼を受けて保管することが営業倉庫ということになります。逆に自分の会社の商品を自社で倉庫に保管する会社は、営業倉庫とは呼ばずに自家倉庫と呼び区別されます。最近みなさんが高速道路から見る大型倉庫のかなりの部分が実はこの自家倉庫で、倉庫の建物がここまで増加している中、営業倉庫の面積はそれほど増えていないのが実情です。そもそも、営業倉庫と自家倉庫の違いは、自社で管理するか他社にお願いするかの違いだけではなく、倉庫業を営む上で守らなければならない法律(倉庫業法)があり、その法律を守るための番人(倉庫管理主任者)がいるかいないかも重要です。きちんとした安全な倉庫か、温湿度管理はできているか、防火・耐火対策はできているか、日ごろから整理整頓ができているか、より良い職場環境を作れているかなど、多岐にわたります。大切なお客様の資産である在庫をお預かりするための基本ルールが、法律で定められており、その遵守を徹底している事業者が営業倉庫なのです。

   

ここまで、建物の要件と営業倉庫の言葉の定義についてお話ししましたが、実際に営業倉庫がどのような料金体系があるかについて簡単にご説明したいと思います。料金体系は、倉庫業の原価となる内容と関係しているのですが、その項目は大きく3つ(倉庫建物費、人件費、情報システム費)となります。この3つの項目別に倉庫建物費に関係して保管料(商品を効率的に格納し預かる作業)、人件費に関係して荷役料(決められた保管場所への入庫、指示に合わせた出庫、配送先別、方面別の仕分け、荷渡し作業)、輸配送管理料(お客様の要望に合わせて合理的に輸配送し管理する作業)、流通加工料(商品が適正なものか、個数に間違いがないかのチェック、包装、詰め合わせ、ラベル貼り、検針、荷札付け、値札付け、組み立て作業)、在庫管理料(棚卸、ロット管理作業)。情報システム費に関係して受発注等の情報管理料(情報接続、情報交換、伝票送付作業)となっています。

   

国土交通省が定める倉庫業という業種についての説明は以上になるのですが、倉庫業の社会的要求はどこにあるのでしょうか。阪南倉庫が考える倉庫業の機能要件は、7つ(品質保持機能、価値転換機能、時間調整機能、単位調整機能、店舗補助機能、情報補助機能、物流設計機能)となり、時代の変化ともに増えていきました。これらすべての機能は非常に重要で、現在のほとんどの営業倉庫は、お客様の特性によって多少の違いはあっても、これらの機能を備えています。この機能一つ一つの説明については、また別の機会でお話ししたいと思いますが、お客様から営業倉庫に仕事を依頼頂く上で非常に重要な機能は、1つ目の品質保持機能です。営業倉庫は、どのような素晴らしいサービスを提供していようと、この品質保持機能をしっかりと意識していなければ意味がなくなってしまうのです。

   

今年最後のブログは、阪南倉庫が営んでいる事業、倉庫業についてご説明いたしました。私は日ごろから倉庫事業の社会性の高さを、いろいろな局面でお話ししています。商品だけでなく、情報も集積される倉庫は、人と人の繋がり、商品と商売の繋がり、お金と情報の繋がりを実現します。これらの繋がりをコーディネートし、安心安全で居心地の良い世の中をつくることができる仕事、それが倉庫業なのです。改めて、このような素晴らしい仕事ができているという誇りと、より良くするための努力を忘れず、来年も頑張りたいと思います。今年一年本当にありがとうございました。

   

   

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