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改めて業態について考えてみる

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先日、素晴らしい機会を頂いて、多くの若い方々の前で、「倉庫業の役割とこれからの倉庫業」というテーマで、90分お話をさせて頂きました。人前でお話しすることは慣れていないので、なかなか上手にお話しできたかどうかはわかりませんが、今回から3回に分けて用語集として、「物流業」「運送業」「倉庫業」についてお話ししたいと思います。ということで、今回は物流業についてお話しします。物流業という仕事についてお話しする前に、いつものように言葉の定義から考えてみたいと思います。このブログでも今まで何度も使ってきた「物流」という言葉の定義は、2006年に改定された、日本工業規格(2019年に日本産業規格と改称)により、以下のように定められています。

      

『物資を供給者から需要者へ,時間的及び空間的に移動する過程の活動。一般的には,包装輸送保管荷役流通加工及びそれらに関連する情報の諸機能を総合的に管理する活動。  調達物流,生産物流,販売物流,回収物流(静脈物流),消費者物流など,対象領域を特定して呼ぶこともある。』

   

いつものように知らない人からすると非常に難しい言葉ばかりですが、簡単に噛み砕いて言うと、原料や部品・商品などの物品が複数の企業や人を介して流れる仕組みのことです。もっと簡単に「モノの流れ」と言えます。この物流という言葉は、正確には「物的流通(Physical Distribution)」の略語で、20世紀初頭に欧米で生まれた概念です。その考え方が1970年代に日本に持ち込まれ、高度成長期に入り、国内外に流通する物の量が跳ね上がった時、モノの流れをどのように管理するかを考える上で、この概念により環境が整備されるようになりました。具体的には、その作業内容別に区分け(包装作業、輸送作業、保管作業、荷役作業、流通加工作業、情報処理作業)することや、どのような業務で管理されているか区分け(調達業務、生産業務、販売業務、回収業務)することを定義したわけです。この定義の結果、我が国では、物流という名目で6つの作業区分、4つの業務区分の業態が生まれました。現在物流業という名目で、いろいろな事業者が存在するのも、その区分が大きな要因となっています。例えば単純な組み合わせで考えると6×4=24種類、複数業態の組み合わせを考えると576種類のパターンがあります。例えば、○○輸送とか○○運輸、○○倉庫などが物流会社なのはもちろんですが、〇〇包装とか〇〇梱包、○○サービス(荷役作業請負会社や人材派遣会社)も物流会社という区分けになります。ここにさらに業態も加わって穀物とか鉄工とか紙などの素材分類や、製造、工業、卸などの業種も加わってさらに複雑になっていきます。

   

このような500種類以上もの細やかなサービスを実現するために、多くの中小企業がそれぞれの分野で専門性をもって事業していることは素晴らしいことです。ただこのことは、逆に業界を超えた総合的な対応ができる事業者が、大手事業者に限られる結果になっています。これからの物流事業者がどのような方向性を模索する必要があるかというと、前に説明したロジスティクス(物流の業務を計画、実行、調整、再計画する管理体制)という考え方が必要になります。今後の物流に携わる500以上もの業態が、自社の業態に合わせて、どのようにロジスティクスを実現していくのか、注目してみても面白いかもしれませんね。

   

   

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