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ICT(インフォメーション・コミュニケーションテクノロジー)と物流の未来

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私が、会社のウェブサイトで物流の未来を占うキーワードとして挙げている言葉をご存知でしょうか。「ICT」「ロボットの導入」「Society5.0」、最近であれば「物流DX」なんて言葉もでてきていますが、今回は、最初に挙げた「ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)」についてお話ししたいと思います。ICTとは、主に通信技術を活用したコミュニケーションを指します。情報処理だけではなく、インターネットのような通信技術を利用した産業やサービスなどの総称で、今まで一般的によく使われていたIT(情報技術)に「Communication(通信、伝達)」という言葉を加えた、相互連携を強調しています。単なる情報処理にとどまらず、ネットワーク通信を利用した情報や知識の共有を重要視しているのです。今回は、そのICT(情報通信技術)が、特に物流事業者にとってどのような技術を指すのか、考えたいと思います。

   

一つ目は、業務に関わるICTです。倉庫内での業務はざっくりと、入荷入庫に関わる仕事、保管に関わる仕事、出庫出荷に関わる仕事の3つに分かれます。それらがさらに作業別に入荷検品、格納、ロケーション移動、棚卸、ピッキング、出荷検品、関連書類発行などなどに分かれて、それぞれで計画・実行・管理のサイクルで実施されます。これらを在庫管理し、そして作業の指示と報告を管理する仕組みを一般的に倉庫管理システム(Warehouse Management System)と呼びます。この業務システム上での重要なポイントは、在庫が正確に把握されている状況を確保しつつ、全体的な作業の流れがシステムの中で計画され実行されていくことにより、全体的な作業量の把握が可能になり、より合理的に作業がコントロールできるのです。これが一般的な倉庫管理システムですが、では一般的な倉庫管理システムとICTを志向した倉庫管理システムの大きな違いは、なんでしょうか。ずばり相互連携です。個々の作業指示や報告だけではなく、どの作業場所で、どのくらいの量、どの商品が、どれくらいの時間、何人で作業されたかなど、一つの作業指示に関係する情報を抽出・蓄積して、分析までしてしまう仕組みを指しています。倉庫業務内でのICTが進めば、より良い作業環境をどのように整えればよいのか、物流のプロフェッショナルがより設計しやすくなるのです。

   

二つ目は、様々な物流機器、いわゆるマテハン機器との連動するICTです。実は高度な物流センターというのは、非常に多くの機械が導入されています。例えば、自動的に商品を出したり入れたりする自動倉庫、棚に保管している商品をコンピュータと接続された台車でピッキングするピッキング台車、段ボールケースを必要な場所に仕分けする仕分け機、段ボールケースを移動させる自動搬送コンベアライン、複数階層で商品を管理している場合に荷物用のエレベータのようになる垂直搬送機、商品をピッキングしたり検品したりするときに使う無線ハンディーターミナルなど。物流センター内のそれらの機械は、ただ単純な作業を担う機械として動いているのではなく、実は一つ目の業務に関わるシステムと連動して動いています。そもそも上で挙げた機械は、機械に内蔵されている小さなコンピュータで動いています。その機械のコンピュータと、業務の指示を出すコンピュータの間に、中間的な制御をするコンピュータが存在します。これが物流機器と連動するICTなのです。お客様の物流に関しての要望に応えようとすればするほど、物流機器の導入は欠かせません。お客様との取り組みの中で、業務を高度に自動化や、機械化するためには、この連動ICTが重要になるのです。

   

最後に三つ目は、外部と連携するICTです。一般的に物流センターを運営する場合に、倉庫管理会社(阪南倉庫のような倉庫会社)は、お客様の販売システムや生産システムはもちろんですが、お客様の仕入れ先、販売先、また運送会社、貿易代行会社、通関会社など、様々な企業との情報連携が必要になります。そして、倉庫管理会社は、商品情報など集積された様々な情報を、特定のルールで複数企業が使用できるようにし、サプライチェーン上の合理化を実施しています。これが、外部との連携ICTシステムなのです。ICTを志向する連携が進んだ現在では、スマホなどの誰でも持っている機械で、この連携ICTを運用することにより、より簡単に通信の壁を乗り越えることができ、多くの会社がそのメリットを享受できる機会が増えています。例えば、トラック事業様にとって非常に問題になっている荷物の受け取り待ち問題ですが、事前予約制の連携ICTを導入することにより、平均80分以上待っていた事業者が20分以下になったりしているのです。

   

今回は、ICTというキーワードを基に、物流の未来のイメージをお話ししましたが、実はこの未来はそれほど遠い未来ではありません。むしろ阪南倉庫が30年かけて培ったサービスの形は、今の技術の進歩と比例してどんどん進化し、ICTのサービスとしてお客様に提供できています。私たちは、これからもその進化に合わせて変化することが大切なのです。

   

   

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