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会社組織の縦と横

CATEGORY /  物流用語

最後の物流コストの観点は、領域(物流プロセス)別の観点です。前回、2回に分けて物流コストの定義をお話してきましたが、1つ目の観点は、自社か外部かの切り口、2つ目の観点は、経理処理の一環としての機能別の切り口となっていました。今回は、領域や物流プロセスの切り口ですが、前回2回と比べて、ちょっとわかり難いですよね。端的に言うと、そのコストが、誰(どの部署)の負担なのかを明確にするための観点と言えます。一般的には、調達、生産、事業(部内)、販売、返品などの領域に分けることができます。まずはそれぞれの領域の説明から始めたいと思います。

   

調達という言葉を聞かれて、皆様どんなイメージを持たれるでしょうか。一般的に調達とは、生産計画(もしくは商社や卸会社の場合、販売商品の仕入計画)の中で、生産や販売に必要な原材料や部品、製品を、必要になる時までに仕入れて、供給可能な状態にすることを指します。ここには、どの仕入先でどのようなタイミングで、どれだけの量、どこに置いておくのかなどの非常に戦略的なこと、また人材や設備など生産能力に関わる部分を生産計画に従って整えるという非常に大きな経営計画までも含むこともあります。調達に関わる部署は、一般的に購買部、生産管理部、商品部、人事部、品質管理部、経理部などで、そこで発生するコストの内物流で必要なコストを調達物流コストとして、各部門に分配します。

   

つぎに生産領域についてです。生産領域は、文字通りものを生産するために必要な活動範囲で、一般的には生産拠点に原料や部品が格納されたところから、完成品が出来上がり、出荷されるまでの範囲を指します。この領域は、製造ラインの設備の確保、作業員の配置、資材の供給など、生産活動を円滑にするために、さまざまな業務が絡み合って成り立っています。生産計画にもとづいて適切にコントロールするために、スケジュールに沿った資材仕入と在庫管理、製造ラインへの供給と生産活動、品質チェックや仕掛け品・完成品管理など、幅広い業務を行っており、ここで発生する輸配送コストや保管などにかかる備品や車両コスト、人件費、建物設備費用、在庫管理するためのソフトウェアなどの費用を総じて、生産物流コストと呼んでいます。このコストに関わる部署は、ほぼ調達と一緒で、購買部を除いて、生産管理部、商品部、人事部、品質管理部、経理部などが挙げられます。

   

3つ目の領域は、販売領域です。この領域は、「いつ・どこで・誰に・何を・なぜ・どのように・いくつ・いくら」で販売し、代金の回収までを指し、ただ製品の販売だけでなく、製造前の仕入や在庫の管理、顧客データの管理のほか、請求や代金の回収も対象となっています。販売領域では、受注管理(見積もりや契約の締結、受注業務)、出荷管理(流通加工業務、出荷業務、納品業務)、請求管理(請求業務、回収業務)、仕入管理(見積もり、契約の締結、発注業務、入荷検品業務、支払い業務)、在庫管理(受払業務、棚卸業務、資材管理業務)を行っており、生産物流コストと同様ここで発生する輸配送コストや保管などにかかる備品や車両コスト、人件費、建物設備費用、在庫管理するためのソフトウェアなどの費用を総じて販売物流コストと呼んでいます。このコストに関わる部署は、主に営業部、経理部、購買部、人事部、品質管理部などが挙げられます。

   

最後の領域は、返品領域です。この領域は、一度お客様もしくは販売店舗などの小売りに一度渡った製品が、なんらかの理由で返された時に発生します。その返品理由は様々で、お客様の満足を得られなかったり、品質問題があったりなどの、商品そのもののトラブルや、店で売れ行きが不調で返却されたり、季節が合わなかったり、セールで売れ残ったりなどの販売上のトラブル、さらにご出荷や遅納などの物流トラブルなどが挙げられます。この領域で重要なことは、処理のスピードと透明性、そして品質の向上となります。返品は、どこから返品されたのかのチェックから始まり、返金処理、在庫管理、再生管理、品質管理などの業務を行っており、そこにかかる物流コストを返品物流コストと呼んでいます。この部署は、すべての部署をまたぐ領域で、コスト分配するときには、その返品理由により分けられます。

   

このように、領域別観点での物流コストを研究すると、その会社の特質や課題が浮き彫りになるとも言えます。ただ、この観点でのコスト配分を徹底しすぎると、組織間の責任のなすりつけが横行し、組織間がぎすぎすし、縦割りの組織になり、全体最適を考えにくい組織体質になってしまいます。領域別観点の物流コストが、これだけの部署と絡んでいるからこそ、我々物流事業者はとお客様の組織をまたいで提案することが可能です。まずはこの領域別の物流コストを分析し、その上で事業全体の物流合理化計画を立案できるように進められれば、本当の意味での物流コスト削減が可能となるのです。

   

      

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