阪南倉庫のように物流サービス事業者として、お客様にサービスを提供し、そのサービスに対して対価を頂いている会社にとって、お客様から「物流コスト」の削減と言われた時に、何が物流コストなのか定義できているのかが、非常に重要になります。ロジスティクスシステム協会が定義する物流コストは「供給者から需要者へ至る物財の実物的な流れに要するコストであり、具体的には、包装、荷役、輸送、保管及び情報処理の諸活動に要するコストである。さらに商流コストと並んで、物財の時間的、空間的な価値の創造に貢献するコストである。」としています。また、一般的に誰がどのような立場で物流のことを見るのか、その視点でも呼び方が変わり、輸送費、保管・在庫費、包装費、荷役費、物流管理費といった機能別の視点、支払物流費、自家物流費といった支払形態別の視点、または調達物流費、社内物流費、販売物流費といった領域(物流プロセス)別の視点などに分類されることが一般的です。 企業の財務諸表には、「配送費」といった費用項目が掲載されていることはありますが、これは物流コストの一部に過ぎないことに注意が必要です。このように物流コストは、様々な視点によって呼び名や管理方法が違いますが、今回は、まずは当社のような外部委託事業者にとって一番重要である支払形態別の視点である、社内物流費と社外物流費について詳しくお話ししたいと思います。
これは読んで字のごとく、外部に支払っている運送費用や外部の倉庫で商品保管するための保管料、入出荷などの作業料、外部倉庫でギフト加工や値札付け加工などを行う流通加工料などが社外物流費となります。その一方で、外部に支払わないで、社内で経費計上する項目で、物流責任者の人件費や、受注入力を行う担当の人件費、出荷が大幅に増えて本社から応援で作業を手伝った時の費用、営業マンが緊急受注対応で直接お客様に商品をお届けするための経費、棚卸のための人件費、また製品を工場からリフトで出荷場に運びトラックに積みつける費用、製品のトラブルにかかる保険費用など、物流に関わる社内の費用は大きな金額になるにも関わらず、社内で細かく分類されていないことから、物流コストとして把握されていないことが多いのも実際です。社内物流コストは、物流担当者が複数の業務を兼任して行っている事が多く、担当者が業務を抱え込むことにより、無理や無駄、ムラが発生し、実際にコスト削減を実施するのが難しいだけでなく、問題そのものの把握すら困難になります。先進的な会社は、それらの問題を解決するために、積極的に社外物流に移行しています。これを物流のアウトソーシング(外注化)と呼びます。多くの企業が、物流の問題把握の難しさ、また改善活動の難しさに直面し始めている中、物流をアウトソーシングする企業が増加しているのです。
では、物流をアウトソーシングされた企業(当社のような倉庫会社)は、まずどこまでが物流コストになるのか、そこを分析してコストを明確化することから始めますが、さらにお客様の課題を把握し、改善活動を実施していきます。一般的に物流コストを押し上げている要因は、主に3つに分類することが可能ですが、それは、「ハンドリング」「波動」「イレギュラー」です。「ハンドリング」とは、製品などを持ち出したり、収納したり、その他ラベルを貼付したり、トラックに積み込んだり、製品を生産し、販売、納品するに至るまでのモノの流れの中で、物流に関連する人間が商品を“触る”こと、これをハンドリングと呼びます。このハンドリングが多ければ多いほど、手間がかかり、物流コストが上がってしまいます。次に「波動」とは、曜日や週、月、また商品や得意先などにより、取り扱う物量が波のように大きく変動すること、これを「波動」と呼びます。大手量販店の月に一度の大売り出しや曜日安売り特売などといった、特別販売の大口需要、曜日が指定された出荷指示体制による物量の集中化などにより、物流コストが増大しています。最後に「イレギュラー」です。通常取り決めているルールに基づいて運営されている業務をレギュラー業務と位置付けると、時間外受注や出荷、緊急出荷、受注キャンセルなどをイレギュラーと分類します。このようなイレギュラー業務は、結果作業の手間を増やすことになり、残業の発生、増加、割高な緊急便活用などより、全体的な物流コストを押し上げる形に、結果としてなっています。
これらの、3つの物流コスト増大の要因を分析することにより、様々な業務を日々改善することが可能となってきます。皆様も是非、自分の職場の「ハンドリング」「波動」「イレギュラー」について、改めて考えてみてください。業務改善のヒントの多くが、この3つの要因に隠れていることが分かるのではないでしょうか?
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