社長ブログ BLOG
「五ない主義」ってとても奥が深い
各会社の物流部門に代わって管理を行う物流受託業務ですが、その売り上げの多くは、人が作業することによって生まれます。入荷料、出荷料、梱包料、流通加工（値札付け、ギフト加工、セット組など）料などがこれにあたります。これらの請求する項目の内、そこにかかる経費の内訳はいろいろありますが、そのうち人件費が占める割合は非常に高く、一般的には半分以上が人件費ということも少なくありません。つまり、当社のように人件費比率の高い会社にとって、作業スピードや効率などの「生産性」を上げて、売上に対しての人件費比率を下げることができれば、より利益率や競争力が上がり、事業を発展させることができます。今回は、この生産性について、当社阪南倉庫の生産性向上策について具体的な事例のお話しをしたいと思います。
生産性の向上のためには、まず受託した作業を行う環境の把握が最初の第一歩になります。まずはその管理対象になる作業を設計する段階で、作業そのものの流れ、作業機械の設置場所などを含む倉庫のレイアウト、作業人員の時間別作業別の配置、作業指示単位と作業量、作業の進捗管理方法などを把握する必要があります。次に、設計された作業を作業員全員に同じように実施させるために作業手順を浸透させたり、また作業員毎に習得技能が違う場合には、各自の技能の把握と配置も重要になります。このように、実際の作業が始まる前にしっかりと準備することにより、生産性向上のためのモニタリング数値の設定ができ、しかも設計値と実質値の誤差を把握も可能で、より高度な生産性の向上のための改善が実施可能となります。さらに、当社のビジョンの一つである従業員目線での環境整備も生産性向上に役立ちます。例えば、
・体に負担がかからず、素早く、簡単にモノを入出荷できるレイアウトかどうか？
・作業のための動線が最短になっているかどうか？
・怪我なく安全な作業が可能な環境になっているかどうか？
・休憩などが快適に取れる環境かどうか？
・作業の照度など、作業性を落とさない状態かどうか？
・通勤時間や手段が容易に選べているかどうか？
・作業手順が作業に関わる人に伝わっているか？
・自分の作業スピードを他の方と比較できるかどうか？
・効率を図るための指標があるかどうか？
などです。
阪南倉庫が物流受託業務を行うきっかけになった倉庫が、現在の汐見第１センターですが、このセンターを設計する時の基本コンセプトがあります。阪南倉庫で働く人間なら必ず一回聞いたことがあるコンセプト、「５ない主義（持たせない・待たせない・考えさせない・歩かせない・探させない）」です。このコンセプトは、実は生産性（商品目線）、顧客満足（顧客目線）、従業員満足（従業員目線）の三方良しを目指しており、この５つを達成するための努力が、より良いセンターの運営に繋がるように考えられています。
持たせない
商品目線：商品ができるだけ安全安心で流れるように持たせない（自動化）
顧客目線：様々な情報を共有しお客様だけに持たせない（情報化）
従業員目線：特定の作業者、管理者だけに仕事を持たせない（標準化）
待たせない
商品目線：商品をスムーズに流して待たせない。（作業進捗管理）
顧客目線：お客様を待たせない（納期管理、納品率管理）
従業員目線：前後の作業工程を待たせない（工程管理）
考えさせない
商品目線：商品の基礎情報を整備し商品マスタを考えさせない（物流マスタ情報管理）
顧客目線：お客様とのサービス内容を事前に合意し、取引時には考えさせない（合意書作成）
従業員目線：作業指示をわかり易く、初めての人でも考えさせない（簡素化）
探させない
商品目線：商品がどこにあるのか探させない（適正に合わせたロケーション管理）
顧客目線：お客様に商品を探させない（在庫の見える化）
従業員目線：作業者に仕事を探させない（適切な作業指示管理）
歩かせない
商品目線：商品があちこち移動や転送など歩かせない（在庫バランス管理）
顧客目線：お客様を右往左往と歩かせない（総合的な物流提案）
従業員目線：作業内容やレイアウトを工夫しできるだけ歩かせない（業務改善提案）
今回は事例集というテーマでお話しましたが、改めて生産性の向上を考えている、特に物流に関係する方がイメージしやすいように、阪南倉庫で行っていることを若干抽象化して事例紹介いたしました。五ない主義の１５項目をチェックするだけでも、生産性の向上に繋がるのではないでしょうか。
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