東日本大震災のときには、東北の中小企業メーカーの製造が止まることにより、自動車会社の製造が止まってしまったり、東日本のスーパーから飲食物が品切れになったり、ガソリンがスタンドから無くなってしまったり。台風でも、直近ではコロナ禍でも、商品やサービスの流れが止まってしまったときに、必ず話題に上がるのは「サプライチェーン」という言葉です。阪南倉庫のような物流会社は、そのサプライチェーンに直接関り、さらに管理する、サプライチェーンマネジメントを行う事業者に位置づけられています。今回はそのサプライチェーンマネジメントについてお話したいと思います。
この言葉の定義について、国土交通省が定義するサプライチェーンマネジメントとは、『商慣行の見直し、電子商取引の推進や取引単位の標準化などによる企業間連携を通じて消費から生産までの情報と物の流れを効率化することで、消費者ニーズを反映した商品をスピーディーに適正な価格で提供する仕組み』となっています。また、日本の物流関連業界の研究機関である、日本ロジスティクスシステム協会が定義するサプライチェーンマネジメントとは、『商品の供給に関する全企業連鎖をいい、商品の企画、調達、設計、開発、資材調達、製造、販売、教育、保守、廃棄(ライフサイクル)に関する全分野を含む概念。商品の製造用の原材料や部品の製造、粗材料の製造にまで溯り、EDI(電子データ交換)と統合データベースによる情報の共有化によって、トータルとしての在庫、物流合理化を図ることをサプライチェーンマネジメントと呼ぶ』となっています。
これだけ読むと非常に分かり難いので、実例を基にできるだけ簡単にまとめるなら、ある一つの製品(例えばここでは当社が保管している商品で海外生産の「羽毛布団」を例にすると)を、製造してお客様に販売するまでには、羽毛の素材メーカーや生地の素材メーカー、生地の縫製メーカーや、羽毛素材の加工メーカー、羽毛布団の完成品加工メーカー、貿易会社、商社などを経て、当社の得意先様の商品になり、その後当社を経由して、運送会社、量販店などを介してお客様にお届けします。このように、お客様にお届けするまでに、多種多様な拠点や企業を通す、その流れを鎖に例えて、供給するための鎖つまりサプライチェーンと呼び、それを管理する仕組みのことをサプライチェーンマネジメントと呼ぶのです。
個々の企業は、自社の利益を考えて、自社にとって最適な形で商品を届けることが多いですし、また量販店などの小売店では、店舗の作業を最小にして、売り場を最大限生かす形で商売をしたいために、最短のリードタイムで多品種少量の納品を望む傾向があります。その調整役が倉庫会社であり、サプライチェーンマネジメントの最大の功労者となっているのです。ただ、各企業ごとに利害関係が多く、実際には調整は非常に難しいことから、もともと小売の力がある企業は、製造から販売まで一気に見てしまおうという流れもあります。たとえば、ユニクロやニトリなどはその典型で、そのような形は製造小売業と呼ばれ、サプライチェーンマネジメントのひとつの大きな成果といえます。
では、倉庫会社が中心となって提供するサプライチェーンマネジメントのあり方とはどのようなものなのでしょうか?もともと、単独企業の物流では、ぶつ切れになって部分最適で終わってしまうものを、企業間を結ぶ全体での最適化を計るわけですから、仕入れ先や販売先の個々の利害、メリットなどを調査し、理解した上で、それらを一致させるようにしなければ、サプライチェーンマネジメントとはいえません。また、個々の企業のメリットをつなぎ合わせて、全体のメリットを明確にし、対象企業と話し合うことも必要なります。総論賛成、各論反対となりやすいテーマをまとめるために、成功事例としては、①情報ネットワークによる見える化、②関連企業の中心的な企業に対する提案、③商取引の規模が大きなところからの実行、④関連企業が受けたメリットを明示化しさらなる発展を試みる、などが挙げられます。 実際に、システム的な導入が基本的な条件になることから、システムを販売している会社が提案することが多いサプライチェーンマネジメントですが、以上に挙げた4つの成功事例をみると、複数企業を巻き込んだ事業改革に他なりません。この事業改革を実行するためには、当社が掲げる多様な仕事を設計するプロフェッショナルな倉庫を実現する必要があるのです。
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