社長ブログ BLOG
問題意識の共有は数値化が大切
今回は、前回に続いて、生活用品やおしゃれな小物や雑貨の企画販売を行っているA社の事例についてお話しいたします。簡単に振り返ると、売り上げも伸びて、非常に好調のA社ではありましたが、売り上げの伸びほど、利益が伸びていない状況に、漠然と不安を感じていたA社社長が課題を把握するために、コンサルタント会社に分析を依頼。以下の通り報告を受けたのです。
・品目が多すぎるために売上規模より在庫が多い状態になっていること
・営業が品切れを恐れて、見込み受注による取り置きを行い、在庫が多めに推移していること
・店舗やメーカーが多岐に及んでいるために、在庫拠点が分散し、また拠点が多すぎるために在庫管理が困難になっていること
・在庫管理の不徹底により欠品や納期遅れが頻発し、営業マンが現物在庫を奪い合いで確保し、お客様へ自分で納品するケースが増えた
・営業、物流を中心に残業が常態化し、人件費のコストを押し上げている
・上記問題は、売上規模が増えれば増えるほど大問題になり、より利益を圧迫する可能性が高い
もともと、同業他社と比べる在庫量が多いという認識のあったA社社長は、在庫管理をより良くするために、積極的に情報収集をします。その結果、取引金融機関より物流会社B社を紹介されたのです。商談初日に機密保持契約書を持参したB社は、契約締結の後大手コンサルタント会社の報告書を含む、様々な業務情報を調査した上で帰ったのでした。前回のあらすじが以上となります。
最初の商談を終えてから数日後、B社は、前回打合せした商談記録を作成し、A社と共有した上で、「在庫削減、物流費削減、顧客満足度の向上」を目指した提案をさせて頂きたいので、２週間後に日時を設定頂きたいと連絡してきました。提案の内容が幅広く、どこにでもありそうな提案目的であることから、まあ聞くだけ聞いてみるかという軽い気持ちで会合に臨みました。B社が提案してきた内容は、「在庫量の４０％減。倉庫コスト２０％減、運送コスト１０％減、納期遵守率１０％アップ」という具体的で、非常に衝撃的な数値を含むものでした。何よりも驚いたのは、B社による現状のA社のコスト分析でした。現状の物流コストは、各拠点の倉庫賃借料、商品の管理や配送などに必要な営業担当者や管理担当者の人件費コスト、拠点間転送や納品用車両コストなど多岐に及び、A社が経理的に物流費として計上していた以外の間接経費を含めると、全部で売上金額に対して２０％もの物流費となっていました。このようなA社の企業体質を改善するために、B社が提案した内容は、
①倉庫拠点を全国２拠点に集約すること
②倉庫や配送業務を外注化すること
③物流管理システムを販売管理システムから切り離し、一元化すること
④販売管理システムとの連携を強化すること
というものでした。また、この提案書には、どのような実行手順で進めるのかのスケジュールや実際にB社と業務を行うにあたってどのようなルールで行うかというサービスレベルまで記載された書類も準備されていることによる安心感もあり、自社だけではなかなか変えることができなかった焦燥感も相まってお願いすることに決めたのです。
注文を受けて、Ｂ社は提案時に公約していた通り、予め検討していた手順について、現場担当者や管理者と面談。実際の業務とのすり合わせをし、より具体的な手順書や業務フローを作成。当初考えていたサービスレベルの合意書についても、現場とのすり合わせを繰り返し、お互いに納得のいくサービスを確立し、非常に円滑に業務の外注化を実現することができました。結果として、Ｂ社の協力により、在庫は大幅に減少。物流費も削減に成功しました。また副産物として、営業担当者が営業に周る時間が増加したこと、また今までの物流品質と比較して品質が向上した為に、顧客満足度が向上し、さらに売上アップしました。また大手コンサルタントが危惧していた「規模の拡大による運営崩壊リスク」も避けることができ、業績を大きく伸ばすことに貢献できたのでした。
今回の事例でもお分かりの通り、課題解決策をただ書かれていても、A社社長の心を動かすことはできてなかったはずです。また、個々の費用や単価を安くすることに囚われすぎても、より良い結果を得ることは難しいです。大きな数値的目標を設定し、そのためにどのように業務を設計するのか。その設計された内容で実行することで、どのようなコストがかかり、全体としてどのようにコストを合理化できるのか。その数値を表すことで、お客様に満足頂いた上で、長い取引が可能な提案となります。阪南倉庫の理念である「信義、誠実、共栄」は、お互いの数値目標が、お互いの収益に繋がる提案、そんな提案を実現することで達成できるのではないでしょうか。
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