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世界は結構繋がっているという話

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新型コロナウィルスの影響で、様々な企業でその活動に影響がでています。今回の新型ウィルスのパンデミックは、100年に一度の災害と言われていますが、経済的に見ても本当に大きな影響がでています。例えば、物流業界の話題で、新聞紙上を賑わしたのは、空前のコンテナ不足問題です。コロナ禍以降、急激に全世界の製造業がストップし、2020年5月以降急激に生産が再開したことにより、物量に対して動かせるコンテナが不足し、荷物が運べなかったり、コンテナ輸送コストが大幅に増加したりしました。地元倉庫業界の専門知識の府である大阪倉庫協会では、このコンテナ不足の現状について、一般的な問題点からより具体的な理由まで、詳しく説明頂きました。今回はタイムリーなこの議題について、行動録としてご説明したいと存じます。

   

まずは、簡単にコロナ禍の影響として、全世界的に見てどれくらい極端に物量が変化したのかについて説明頂きました。2019年の12月に発覚した新型コロナウィルスですが、世界に感染拡大したのは2020年2月となっています。その2020年2月の全世界的なコンテナ輸送量は、前年と比較してなんと25%マイナス(つまり75%程度の物量)しかありませんでした。この数値は本当に衝撃的な数値ですが、全世界が一斉に日本とは比べ物にならないくらいに急激にロックダウンしたことを考慮すると、現実的な数値なのかもしれません。その後わずか5か月で、世界経済が急始動したことにより、2020年7月の数値は前年比10%増(つまり110%の物量)で、しかも実際に運べないで注文待ちになっている10%を加えると、20%増となっていました。一番低い時と高い時の差を比較すると、45%もの物量変動があったことになり、この事態の異常さをご理解頂けるかと思います。一般的に、コンテナの流れは、船上、港、生産地、内陸輸送の4つの拠点を循環することでバランスがとられています。今回のコンテナ不足の原因として一般的には以下の6つの理由が挙げられています。

   

①コロナ禍でのあらゆる商品の生産調整

②急激な物量の増減による内陸輸送の遅延

③コロナからの復帰のタイミングがバラバラだったことによるコンテナバランスの崩壊

④コロナ禍での船の欠便

⑤コロナ禍でのコンテナ生産力の低下

⑥在庫欠品リスク回避のための在庫確保

   

以上のような表向きの理由がありつつ、実はその裏ではさらに問題を深刻にしている原因がありました。その点についても、今回の勉強会では明らかにされました。

   

・スエズ運河の座礁事故による閉鎖(実質封鎖期間1週間、前後2週間調整期間で3週間に亘って全世界の1割近い物流に影響を与える運河が通常通り使えなかった)

・港と内陸を繋ぐ物流の連携不足(今まで使っていなかった港を経由したりするため十分な設備が整っていないところでの内陸物流となり物流が滞った)

・コロナ禍での検疫体制の強化(コロナ陽性者が出た場合の対応など通常とは全く違った対応が求められた)

・港など物流従事者の不足(国の補助が厚すぎたために働く必要がなくなった)

   

これらの裏の事情も、改善されつつあり、年内でコンテナ不足と呼ばれる事態は収束するようです。ただ、改めて今回の事例で物流という流れが、滑らかに流れない要因が発生すると、全世界的に影響がでることが分かったのではないでしょうか。地球の裏側の船舶の事故、多くの貨物を取り扱っている国の労働者の雇用動向、世界各国の検疫などの法改正や特別ルールの設定など、物流のプロフェッショナルとしての使命を全うするためには、国際情勢のアンテナも常に張る必要があるのです。

   

      

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