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まったく違う業界の成功事例で気付くこと

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今までこのブログでは、とくに用語集と事例については、物流に関係する内容をお話してきました。ただ、新しい発想や変化を進める時に、同じ業界の中では発見できないことが他の業界ではすでに常識になったり、すでに同じような課題を先進的に解決していたりすることがあります。今回は、物流業界と同じように、構造的に複数企業が協力して作業しなければならない業界、建築業界の現場管理方法について、いまどのような改革が行われているのか事例で研究することで、物流業界に生かせないか考えたいと思います。

   

ある建築会社A社が受注した大規模複合施設の建設プロジェクトの現場では、業務の効率化と関連書類などの管理精度の向上を図ることを目的として、業務管理ネットワークを整備しました。ネットワークは、施主(お客様)グループ、建築作業グループ、機械設備グループ、各企業責任者グループの4つに分けられ、それぞれのグループ毎の権限内容でWEBページから、クラウド上で建設プロジェクト情報の閲覧、共有データのダウンロードができます。様々な情報を共有するための最初の作業は、管理すべき業務マニュアルなどの書式を標準化することから始まりました。プロジェクトを運営管理する上で、全体の業務の流れがどのようになっているのか、また各社、各作業員でバラバラだった管理書類を標準化し誰が作成してどこに保管し、どのグループに開示するのかルールを明確に定めたのです。特に、様々な現場で発生した質疑記録や発生したトラブル報告書などの共有化は非常に効果的でした。今までの管理現場では、対応した作業員や会社でしか保管されていなかったそのような詳細情報を、共有データベース化することにより、関係者に適時報告したり、またキーワード検索できるようにしたので、不要な問い合わせや資料探しがなくなり業務が効率化された上に、トラブルや変更事項に対しての伝達スピードが上がることにより、現場の管理精度が向上したのです。さらに、このプロジェクトでは共通のグループウェア(スケジュール管理やメールの管理などをするソフトウェア)も導入し、報告連絡相談のやり取りの合理化やスケジュールの共有なども実現し、ファイルの管理と合わせて大きな成果を実現しています。

   

個別には、建築作業グループでは、月間工程表、業者連絡先一覧表、コンクリートなど部材供給計画表、建築強度確認表、業者別見積内訳表等を共有フォルダに保存することにより、連絡業務の簡略化を図りました。各担当者は、これらのデータをもとに担当別の工程表、作業計画等を作成しました。また、グループウェアの機能を使って、各種書類等に建築図面の変更連絡、お客様グループとの打合せスケジュール調整、取引先の連絡管理、図面作成スケジュール管理等を行いました。特に「変更連絡」では、承認後の図面に変更が発生した場合、掲示板に変更連絡を入力することにより、そのまま回覧用書類を作成することができ、業務量を増やさずに瞬時に全員に知らせることができました。その他、ホームページ上から閲覧したいデータもサーバに保存することとしました。最新図面データは、建築JV工務課が一元管理を行いました。さらに、建築作業グループで作成された書類やスケジュールまた掲示板は、お客様グループ、機械設備グループ、各企業責任者グループでも共有され、お客様グループや企業責任者グループでは承認作業や打合せ調整に、機械設備グループは機械メンテナンスや作業別の機械導入の調整など、非常に有効に活用され、合理的なプロジェクト管理に結びつけたのです。

   

以上、今回の異業種の事例についてお話ししましたが、この事例自体は建築業界の業務管理ネットワークというシステム導入についてでしたが、じつは重要なポイントはシステムそのものではなく、その導入に合わせて整理された複数企業間が絡んだ業務の流れの整理、必要書類の標準化、作成・編集責任の明確化、スケジュールや書類の見える化などが挙げられます。これらのポイントは、物流のコーディネーターとして倉庫会社が行動するためには、非常に重要なことになります。あらためて、これからのお客様との物流合理化プロジェクトの在り方や、サプライチェーンコーディネーターとしての振舞いの参考にしたいと思います。

   

   

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