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サービスの本質はみんなの幸せ

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私がいろいろな人と出会ったとき、この人は素敵な人だなと思える人はどんな人なのか?例えば面接など誰かと一対一で話すとき、どんな人が魅力ある人に映るでしょうか。笑顔でハキハキ喋ることが出来る人。また自分のことをしっかりと説明できる人。面白い経験の話など話が上手い人。自信がありしっかりと人の目を見てしゃべられる人。などが挙げられます。では、会社ではどうでしょうか?得意先様や取引先様に、しっかりコミュニケーションがとれているか。自分の会社の長所をしっかりと語れるか。会社内での自分の役割や出来事、業界の面白い話を語れるかなど、この会社いいねと思ってもらうために大切なことも存在します。今回は、前回に引き続きコンピューターの販売会社D社の事例についてお話ししますが、企業が発展するためにサービスを明確化することは、個人が自分自身を魅力的にすること、また多くの人や会社がこの会社と取引したいと思って頂くことと直結しているのではないでしょうか。その目線を意識しながら、4つのキーサービスについて、具体的にお話します。

  

①お客様が欲しい性能(スペック)を準備すること。

D社は、一般的なハードウェアメーカーのように、お客様からの注文を受ける前から、多額の研究費用を投じて、自社製品を高度に高めることはしませんでした。これは、スペックが価格に反映するPC業界では、まったくの常識外れの行動なのですが、その結果、D社の製品は技術的に見てこれといって特筆すべきものがない、平凡な商品となっています。しかし、ここでのポイントは、「お客様が満足頂けるスペックは十分にある」ということなのです。D社は、お客様を中心において、お客様の技術面のニーズにどのように応えるのかに重点を置く事により、業界内の自己満足的な技術戦争に巻き込まれることなく、それでいてお客様からの技術面での要求を見落とすことなく、市場に参入できています。特に知識や思考などを集積したソフトウェアとは違い、装置・機器であるハードウェアは、部品そのもののブランドや新しさよりは、性能そのものに注目することが多く、D社はその必要性能への供給という形で製品開発を進めたのです。

    

②注文や修理など含めてお客様と対話すること。

先ほどのお客様の欲しいスペックを準備するために最も重要なことが、お客様の要望を知っていることです。これは簡単に見えますが、案外できていません。D社の最も優れているところは、お客様とのすべての情報のやり取り(製品情報の収集、注文、決済、サポート、修理の依頼、クレームなど)を自社の情報システムで完結させていることです。これにより、お客様が快適に楽しく注文することはもちろんですが、小売りよりも細かいサポートサービスの実施、個々のお客様のクレームまで迅速に対応できるのです。また、サポートセンターや受注センターなど、それぞれ部門を専門化することにより、専門性の向上はもちろんのこと、集約化によるコスト削減も可能となっています。

    

③注文から納品までのリードタイムを短くすること(リードタイムを明確にすること)。

多くの企業が目指しているリードタイムを短縮ですが、これを実行することにより、在庫リスクの削減はもちろんですが、企業内のお金の流れも非常によくなります。ただ、D社は自社経営環境を良くするために、リードタイム短縮を行っているわけではなく、顧客サービスという視点でリードタイムの短縮を考えています。つまり、D社は「時間」という非常に重要な「サービスとしての価値」を消費者に販売していると言えます。それにより、自社の経営環境が良くなるのは、あくまでも副産物のようなものなのです。例えばD社は、注文というスタート時点から、届け先納品というゴール時点までのリードタイムを管理しているのですが、受注後すぐに各部品工場に発注され、その注文は予定リードタイムに合わせて、誤差もなく実行されていきます。まるでピザの注文のように、自分が注文した製品が届くまでの流れをみることで、その時間を楽しむことができるのです。また、スピーカーや画面などのように、個々に梱包されていて、バラバラに納品できるものは、わざわざ工場に集配しないで、メーカーから直送することにより、リードタイムの短縮を図ったりもしています。

       

④コスト優位性を確立すること(全体最適でコストを落とし価格に転嫁すること)。

上の3つのサービスを一つ一つ確実に実行することにより、D社はコスト削減を実施しています。例えば、技術開発コストの削減、営業コストの削減、事務処理コストの削減、広告宣伝費の削減、生産コストの削減、在庫コストの削減、物流コストの削減など、その下がったコストを製品価格に反映することで、D社の製品は他社の製品と比較して安くなっています。つまり、ここでも顧客サービスの一環でコスト削減を行い、その多くを顧客に還元することで、サービスの向上に繋げているのです。

   

このようなサービスを非常に論理的に具体的に確実に実行することで、D社はお客様から愛され、大成功しているのですが、ここで一番重要なことは最初にお話ししたサービスを構築するための基本的な考え方です。サービスを構築することによりお客様と良い関係を作り上げて、あの人に会いたい、あの会社で働きたい、あの会社と取引したい、あの製品を買いたいと思わせる何かを創造する、その意味ではサービスの本質は関わるすべての人たちの幸せを願ってそれを形にし続けることなのではないでしょうか。

      

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