需要やリードタイムなど数量や時間の不確実性に対応するために、品切れや欠品を防ぎ、サービス水準を維持するために必要となる在庫。需要に不確実性を伴う場合には、補充リードタイム中の最大需要と平均需要の差が安全在庫と定義される。より厳密には次の安全在庫の式が知られている。すなわち、ロットを発注してから、実際に入荷するまでのリードタイムをLT、期あたり需要の標準偏差をσとしたとき、安全在庫=k√LT・σで与えられる。ここで、kは安全係数(safety coefficient)と呼ばれ、1回の発注あたりの許容される品切れ率α、またはサービス水準(1-α)を指定することによって決まってくる。kは標準正規分布の上側100α%点であり、たとえば安全係数kを2程度にとると、標準正規分布表より品切れ確率は約2.5%、サービス水準は97.5%となる。kを大きくすればサービス水準は高くなるが、安全在庫量もそれだけ大きくなる。上の式からわかるように、需要の不確実性はコントロールできないと考えれば、安全在庫を削減するためのもっとも本質的対策は、リードタイムを短縮することにある。