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業務改革をモチベーションアップに繋げる

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コロナ禍以降、 テレワークやペーパーレス、判子レス、オートメーション化など 多くの企業が業務改革の必要性に直面しています。さらに、この激しい変化の時代で生き残るため、 事業承継や事業強化のためのM&Aなど、経営環境をこの機会に変えようとしている企業も多いのではないでしょうか。 企業の大小に関わらず 、大きな環境変化や法律の変更によりやらざるを得ないことも多い上に、実際に生き残るためにやるべきことや、技術の進歩などにより求められる変化など、対応しなければならない課題が多く存在しています。その一方、何から着手すればいいのかわからなくなってしまい、「結局何もできていない」なんてことも多いのではないでしょうか。今回は、基幹システムのリニューアルを行った電子部品メーカーのA社の事例を基に、業務改革の進め方について考えたいと思います。実際にA社で導入にあたって注意したポイントは6つあり、それらを2回に分けて、具体的にお話ししたいと思います。

   

1)改革の意義と目的をまずは定めること

基幹システムの導入を進める担当者のほとんどは、意識改革が必要なことは分かっていても、いざ実践しようとすると、誰に対して何を教えれば良いのか分からないことが多いです。例えば、直接業務の内容が変更される仕入や物流に関する担当者に対しては研修していたとしても、処理にまったく関係しない営業担当者には、業務の研修はもちろんのこと、この業務改革の意義も踏まえた意識改革が行われないことがほとんどです。当然、営業担当者は改革前と同じ感覚で行動しますので、それにより基幹システム導入の計画が大幅に狂い、商品の欠品や顕著な物流波動などが発生する原因になってしまいます。それを防ぐために様々なルール化がもちろん必要ですが、ただルール化するだけでは、特に営業担当者のように各自合理的なルールで業績を競っている部門には守ってもらえません。そこでA社は、基幹システムの改善の意義と、改革の全容、また改革後の仕組みの意味などを伝え、これによって現場がどのように変わり、それがどのような結果を生み出すのかまで含めて説明し、営業担当の考え方を踏まえて業務のルール化を実施したのです。

   

2)参加者のメリットと目標を明確にすること

どのような業務改革であれ、変更が余儀なくされる部門が、その変更により自分達にとってどのようなメリットが発生するのか明確になっていないなら、その変化には賛同し難くなります。これは新しい基幹システムの導入による業務改革においても同じと言えます。例えば、A社では販売部門と生産部門の間で、販売サイドからの販売計画データの提出を新しく業務に加えて、生産サイドではその販売計画を基に生産計画を作るという仕組みを作りました。ただ、一般的にこのような仕組みが導入された場合、その仕組みの意義をトータルの在庫削減として、各部門に徹底的に研修しても、営業ではお客様の急な購入に備えて、どうしても多めに販売計画を出してしまうでしょうし、生産では営業の販売計画に基づいて生産すると多めになるので、販売計画よりも少なめに生産してしまいます。つまり両部門が腹の探り合いをしてしまい、この仕組みを陳腐化させてしまうのです。A社は、そのような状況を起こさないために、営業サイドのメリット(正確な生産データの照会を可能にする・精度の高い納期管理・商品別利益率の向上など)や生産サイドのメリット(正確な販売データの照会を可能にする・業務の標準化や平準化を徹底できるなど)を明確にした上で、それぞれの部門が、そのメリットを最大限に得るために努力する体制を構築しました。説得という形で新しい業務を押し付けるのではなく、新体制の必要性や部門別のメリットについて明確にした上で、そのメリットを実現するための目標値までを、部門別に設定することにより、現場まで浸透した仕組みを構築したのです。

   

3)まずはやってみてどんどん変更すること

今回A社は、基幹システムとしてパッケージソフトを選択し、まずは限定部門で導入し、その実績を生かして企業全体に広げていくことにしました。ただ、パッケージの導入で必ず起こる問題として、自社のやり方とパッケージの齟齬、つまりカスタマイズと呼ばれる修正部分が発生することです。これをどこまで修正し、どのように全体的に機能する仕組みを作り上げるかは、大きな壁となって必ずぶつかってしまいます。その解決方法として、A社は全体最適の観点から部門を超えて共通化すべき範囲と、それ以外を明確に区別するようにしましたが、実際にその線引きはなかなか難しいものでした。その作業は、本社など全社を見渡す立場にある人と、現場の事情を熟知している人が協議して、その区分けを1つ1つ決めていかなければいけません。ただ、そうなると処理項目の線引きについての議論に、導入前から莫大な時間を費やすことになりかねません。これらを避けるために、A社は大きな目標を理解し合った上でまずは思いきって線引きをし、新しい管理手法を導入した上で、支障がある部分があるなら継続的に修正をかけるようにしました。全体最適と部分最適のバランスをとるための積極的、継続的なモデルチェンジこそ、業務改革を成功させるための秘訣といえるのです。

   

以上、今回は3つのポイントについてお話ししました。今回の事例のA社だけに限らず、基幹システムのリニューアルなど、大きな業務改革を実現するための障害は何かと問われると、ほとんどが現状変更に対するアレルギーと言えるのではないでしょうか。「今のままでいいじゃないか」という人の数が多いほど、その人たちが抵抗勢力となって業務改革の妨げになってしまいます。変化に強い組織づくり、変わることがモチベーションアップに繋がる仕組みづくりのヒントが上に書いたポイントに表されているのではないでしょうか。

   

   

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