私たちが、普段生活をしている中で、何気なく様々な場所で、様々な商品を購入していますが、その購入している商品は、もともとその売り場にあった訳ではなく、商品を作った会社から売り場に届く流れがあり、その流れが仕組化されて運用されていることにより購入できます。その仕組みは「販売物流」と呼ばれますが、それは大きく3つの分類(①中間流通の物流、②小売り主体の物流、③通販物流)に分けることができます。今回は、3つの分類の一つ中間流通の物流についてお話したいと思います。
そもそも、中間流通とは主に卸売業や問屋などで、当社の得意先となっている企業の多くが、この分類となっています。小売業者が、メーカーとの直接取引により中間流通コストを削減することに躍起になっているなか、中間流通業者は、物流機能の充実など様々な機能の強化を推し進めています。例えば、①納品単位の調整機能(例えば、ダンボールで入荷した商品を開梱し、注文に合わせて単品で荷揃えすることなど)、②荷揃え機能(汐見営業所でいうアソート出荷対応)、③ファイナンス機能(決済のタイミングの調整など)、④販売支援機能(そもそも店舗で行っていた作業の取り込み。例えば値札つけ作業、商品説明のタグ化とタグ付け作業など)、⑤物流機能などが代表的な例となります。
その中でも、特に物流機能の強弱が、卸・問屋などの中間流通会社の存在意義に大きく影響しています。例えば、当日受注、当日出荷機能や、緊急出荷など限られた時間での配送業務、納品先の店舗での先入れ先出しを含めた陳列業務、納品先店舗の在庫管理業務、納品先店舗の閉店時間での納品(深夜・早朝納品)など、付加価値の高い業務が求められています。付加価値の高い、きめ細やかな物流業務という点では、それを自社で対応するのか、または当社のような物流専門業者に任せるのかは別にして、中間流通業者は生き残りのために、高度に進化するのと同時に、できる限り合理的に運営するために、取扱アイテムをどんどん増やしてきました。ただ、商品価格が安くなっている現在の商取引では、在庫をできるだけ少なくしつつ、できるだけ商品を回転させ、その上で在庫の差異をなくすために、管理の精度を高めていくことが、生き残りをかけた課題となっています。
また、中間流通会社にとって、売上を向上させるために、高めた機能が上記の5つの機能であるなら、さらに利益を向上させるための仕組みとして考えていることとして、商品の調達業務や配送業務などの定期化が挙げられます。例えば、商品を調達している仕入企業各社が比較的近隣にある場合など、定期的に集荷に向かうトラックを貸し切り、近隣地域を周回させて引き取る仕組み(牛乳業者が酪農家の間を回って牛乳を引き取っていく様になぞらえ、物流用語で「ミルクラン」と呼ばれています)などが代表的な内製化といえます。例えばこの定期化が実現できたときに、中間流通業者は、以下のメリットを享受できます。
・日本の商習慣では中間流通会社への納入費用を商品代に含めることが一般的でしたが、これを仕入先工場渡し価格に変更することでモノの値段と物流コストをそれぞれ的確に把握でき、いわゆる見える化を図ることができる。
・仕入先別の物量の少ない貨物をまとめることで、積載効率が上る。
・中間流通会社は、定期便を上手く運用することにより、在庫を極力持たないことが可能になるので、資金的なリスクを減らし、管理コストも削減できる。
・複数の納入者がそれぞれにトラックを仕立てて中間流通会社に持ち込む場合に対して少ないトラック台数で済み、運賃コスト削減、中間流通会社周辺の渋滞軽減、また環境へ与える負荷も抑えることができる。
以上のように、中間流通会社が、うまく利益を確保しつつ企業戦略を考える上で重要になるのが、商品アイテムの展開と地理的な条件であることが、お分かり頂けたかと思います。中間流通会社は、生き残りをかけて、配送の合理化や商品のラインアップの拡大のために、M&Aなどの企業買収や合併などが進んでいるのも、このあたりが原因と言えるのです。当社が、現在お取引している中間流通各社は、その業界でどのような位置づけにあるのか、また当社は得意先のどのような機能に携わり、得意先の売上や利益の向上に貢献できているのか、またどのような新しい提案が可能であるのか、いまの商品の流れをしっかり見つめることで創造することができるのです。
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